Veeam S3 へのダイレクトバックアップ

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Veeam は、2006年にスイスで誕生したデータ保護ソリューションの企業です。当初は VMware 専用のバックアップソフトとして一世を風靡し、現在は「Veeam Data Platform」として、物理サーバ、クラウド(AWS/Azure/GCP)、SaaS(Microsoft 365/Salesforce)など、あらゆる環境をデータ保護可能な統合管理プラットフォームへと進化しています。

本記事では、評価基盤を構築し、主にバックアップ時のスループットやバックアップデータサイズなどについて、情報共有したいと思います。複雑な構成はとりません。

製品の特長については、初回記事に記載していますので、そちらを参照してください。
Veeam ホットアド構成のバックアップ

Veeam Data Platform には無償版の Community Edition と商用版の Enterprise / Enterprise Plus の二種類がありますが、Amazon S3 へバックアップデータを保存することは、Enterprise / Enterprise Plus の評価版を使用するしかありません。評価版ですので最大30日間の試用期限があります。構築したらさっさと検証を行う必要があります。

評価構成

オンプレミスの仮想化基盤として  Proxmox を選択しました。Proxmox 上に Veeam Data Platform とバックアップターゲットである RockyLinux を稼働させます。バックアップデータの保存先を Amazon S3 を選択しています。ほかの構成ポイントは以下のとおりです。

  • Veeam Data Platform はオールインワン構成です。Veeam Backup Server / Proxy Server / Repository Server / Veeam Recovery Orchestrator / Veeam ONE / DB(PostgreSQL) など全て単一の Windows Server 上で稼働させています。
  • Veeam FLR Helper は、バックアップジョブ作成時に Veeam が自動的に Proxmox 上に作成するヘルパー VM で、OS は Ubuntu ベースです。
  • RockyLinux には、Proxmox の QEMU Guest Agent がインストール済みです(必須)。
  • Veeam Data Platform から Amazon S3 へのバックアップデータ転送は、REST API(HTTPS / TCP:443)で直接接続しています。

Veeam Data Platform の Windows Server 2025 上のインストール情報は以下のとおりです。

■基本構成

Selected features: Veeam Data Platform - Premium Edition
Installation folder: C:\Program Files\Veeam
Service account: WIN-2025\Administrator
SQL Server databases: VeeamBackup, VeeamOne, VeeamOrchestrator
Web UI certificate: Generate new self-signed certificate
Cache and catalog folder: C:\ProgramData\Veeam\

■ポート構成
VRO (Veeam Recovery Orchestrator)
Agent communication port: 8888
Internal server API port: 12348
Web UI port: 9898
Catalog service port: 9393

VBR (Veeam Backup & Replication)
Veeam Backup service port: 9392
Secure connections port: 9401
REST API service port: 9419

ONE (Veeam ONE)
Website port: 1239
Veeam Analytics service port: 2805
Reporting service port: 2742
Monitoring service port: 2714
Caching service port: 2743
Web API port: 2741

Amazon S3 へのバックアップジョブ設定は以下のとおりです。

Object storage repository was successfully modified.
Name: AWS-S3
Type: Amazon S3
Gateway server: direct connection
AWS region: Global
Data center: Asia Pacific (Tokyo)
Bucket: aws-mk2-veeam-1-**********-ap-northeast-1-an
Folder: Veeam-Backup2
Limit maximum concurrent tasks to: unlimited
S3 storage consumption limit: 1024 GB
Storage class: Standard (recommended)
Backups will not be immutable
Mount server: WIN-2025 (Windows)

なお、Veeam Data Platform Enterprise / Enterprise Plus のオールインワン構成を稼働させるために、Windows Server 2025 に以下のスペックを最低でも確保してください。
※評価目的の最小スペックであり、継続稼働させるのであれば、さらにスペックが必要です。

CPU: 2core(ヘルパーVMは4コアがデフォルト必要)
Memory: 16GB
HDD: 100GB

バックアップデータサイズ

バックアップ対象である RockyLinux では WordPress を稼働させています。この RockyLinux をイメージベースで丸ごとバックアップします。まず、バックアップ前後のデータサイズと圧縮率です。

■バックアップソース

VM ディスクサイズ:50GB
RockyLinux ファイルシステム上の使用量:11.5GB
※Veeam Data Platform は50GBではなく、実際に使用されているデータのみを読み取ります。

■バックアップデータ

Veeam Data Platform 転送データ量:7.7GB(重複排除・圧縮後に S3 に転送したデータ量)
Amazon S3 上のデータサイズ:7.7GB(保存サイズ)

フルバックアップにおける重複排除・圧縮効果は約33%(7.7GB/11.5GB)でした。以下図は Amazon S3 に保存されたデータサイズです。

転送スループット

スループットについては、バックアップターゲットの Amazon S3 の REST API の帯域制限は考える必要がありません(超広帯域です)。ボトルネックになるのは、データ転送元になるオンプレミスシステムの LAN または出口のネットワーク帯域です。今回、評価環境は自宅内にありますので、最大 1Gbps がネットワークの最大帯域になります。

■インターネット回線速度(夜間計測):
ダウンロード速度: 957.85Mbps
アップロード速度: 969.35Mbps


■VDP⇒S3への転送速度
約8.7MB/s(約70Mbps)
※転送量7.7GB ÷ 転送時間14分59秒 = 8.7MB/s
※バックアップジョブ実行時間は22分03秒であり、S3への転送時間を除いた7分04秒は、ヘルパーVMの起動や、11.5GBのデータ読み取りなどの処理にかかっていた時間となります。

以下図は Veeam Data Platform 管理コンソール上のフルバックアップ時のジョブ実行結果です。

蛇足ながら、規模の大きい商用環境の S3 へのダイレクトバックアップであれば、オンプレミス出口に 10Gbps 接続は欲しいところです。インターネットVPNでパブリッククラウドと接続している場合は、オンプレミスの VPN ルーターがボトルネックになりますので注意が必要です。

メモリー使用量

おまけ的な情報です。オールインワン構成の Veeam Data Platform の Windows Server 上のメモリー使用率は、バックアップジョブ実行時間帯において、平均して3GBを追加使用していました。これは1ジョブ1VMのバックアップ処理においてですので、ジョブの並列実行などを行う場合は追加のメモリーが必要になることが予想できます。

参考までに評価環境の VM のメモリー使用量を以下記載しておきます。
・Windows Server 2025 Standard のアイドル時:2.4GB
・Veeam Data Platform – コンソール起動後のアイドル時:9.8GB
・S3 のバックアップジョブ実行時:13.5GB

Windows Server に他のサービスを持たせたり、Veeam ONE などを稼働させることなどを考えると、16GB のメモリーは心元ないかも知れません。
本番環境への導入時は必ず Veeam 社やベンダーのサイジングを受けましょう。

makorin
  • makorin
  • AI を使用して情報を得ることが普通の時代になりました。その AI もウェブ上に公開されている情報を元にして動作しています。その情報の一つになればいいなという、極々ささやかな思いで気ままに更新しています。

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